日本看護技術学会 第15回学術集会を終えて
大会長 高崎健康福祉大学 縄 秀志
今年で15回目を迎えた学術集会は、「看護技術学の新たな挑戦-今、ふたたび“その人らしく生きる”を問う-」をメインテーマに、高崎市で開催しました。キーセッション5件、シンポジウム2件、一般演題90件、交流セッション10件、卒業研究交流セッション10件のプログラムに全国から960名の看護実践家・教育者・研究者・学生が参加してくださいました。
初日の午前中のキーセッションでは、川島みどり先生から「行き過ぎた医療安全、経営効率優先や医行為を実施することで看護をアピールする流れに抗い、看護師自らが真の看護とは何かを問い直し、声を上げる勇気をもつことが重要である」と叱咤激励され、参加者からも賛同の声が上がりました。
午後のキーセッションでは、東日本大震災から支援活動を続けている近藤愛哉牧師から「関わりが与えられた方々の存在を「被災者」と一緒くたにするのではなく、一人一人の置かれている状況を丁寧に受け止め「声なき声を聴く」ことが大切である」ことを教えられました。
2日目の午前中のキーセッションでは、菱沼典子先生から看護技術とは何かについて、研究を通して探求し続けてきたプロセスを基に「病者-看護職の人間関係と看護技術は、看護実践の構成要素であり、看護実践の効果は、看護技術と人間関係の両者の複合の結果である」ことが示され、研究を積み重ねることの意義を痛感させられました。
1日目の午後のキーセッションと2日目の午後のシンポジウムでは、看護技術学の理論開発や研究方法の可能性について、田代順子先生、深井喜代子先生、武田利明先生、矢野理香先生、左居由美先生からの講演を聞き、参加者との意見交換も活発に行われました。
大学を会場にしておりましたので、行き届かない点も多かったとは存じますが、企画委員14名、実行委員60名、ボランティア60名が一生懸命に取り組み、参加者の皆様から、「看護の本質を考えるいい学会でした」「感動しました、明日から頑張れそうです」「自分の仕事に誇りがもてました」「看護の大切さを再発見しました」「とっても楽しかったです」と多くの感想が寄せられました。
本当にありがとうございました。明日の看護に向かって頑張りましょう。