技術を磨く
ねずみ・うし・とら年と3年目を迎えた理事会から、新年のご挨拶を申し上げます。
今年は本学会の総選挙の年。早速次期の新役員のための選挙委員会も動き出しました。看護の新たなイノベーションの動きと共に、看護後術の開発・見直しと意味づけ・評価法とアウトカムなど、ケア学の発展が21世紀の<人>を中心とした社会の課題にもなっています。ケア学の中心にあるのが、ケアの技術であることは間違いありません。これまでの治療医学も含めて、総ケア学へのシフトが起こっているように思われますが、ケア学の中心に位置するのが看護学であると思われます。健康を希求する・病気への養生を考える、死という健康問題も含めて、看護の視点でもう一度深く見直していく作業は、私たち看護実践と看護学にかかわるすべてのものが、それぞれの立場から追及していくだけの価値のある課題を提示してくれています。
すこし振り返りになりますが、かつて看護職は専門職か半専門職かと問われた時代がありました。その時代には看護学の体系化が未成熟で理論体系が整っていない、教育体系においても短期大学化が始まったばかりで専門職要件を満たしきっていないことなどが議論されました。今全国に後期高等教育機関が定着し、不断に研究と教育と臨床がリンクして技術の検証と開発がおこなわれ、臨床の智と技を変革する推進力になっています。看護技術学会の名称に表れているように、本学会の活動や研究成果は、日本の医療/看護の臨床において智と技の検証、技の変革の推進力になってきていると自負できるものがあります。
そうしたことを見事に提言し直してくれたのが、昨年の旭川で開催された第8回学術集会のメインテーマ「生命・生活・希望を支える看護の技」と大会長岩元純先生のご講演でした。
先生は学会の英語名称である「Japanese Society of Nursing Art and Science」を取り上げて、看護技術(アート・オブ・ナーシング)について深く掘り下げて研究し、エビデンスに基づいた看護を具現化するために活動するのが本学会の使命であるとおっしゃいました。
年頭に当たり、本学会のこれまでの仕事の成果と役割の大きさを考えつつ、全会員の皆さまとともに技術力をブラッシュアップして、責任のある学会活動を展開していきたいと思います。以下は今年の課題と活動の抱負です。今日の臨床と教育を支援しつつ、10年後に必要とされる技術をカバーしていけるだけの看護技術の変革を目指していきたいと思います。