一般社団法人日本看護技術学会の学術活動の利益相反(COI)に関する指針

1.目的

 一般社団法人日本看護技術学会(以下,「本法人」という)は,看護学の学術の発展に寄与すると共に,看護実践の向上に貢献することを目的とし,2002年10月に設立した.看護職者らが行っている様々な技術についてその効果とメカニズムを,科学的手法を用いて明らかにすること,また経験的知識を発掘してその根拠を探索すること等により,さらなる看護技術の開発を目指し,次の事業を行っている.

  • ① 学術集会の開催
  • ② 学会誌等の発行
  • ③ 研究の促進
  • ④ 学会の運営
  • ⑤ 日本学術会議との連携

 本法人が,活動および会員の研究成果を広く社会に還元していくためには,企業,組織,団体等の産官学が連携する取り組みもある.会員等が外部との経済的な関係で有する利益によっては,公正な姿勢が損なわれたり,研究によって得られる成果を社会へ還元(公的利益)するという本法人の職務遂行責務を果たせないことに発展する可能性がある.このような状態を利益相反(Conflict of interest (COI))といい,本法人はこれを適切に管理し,深刻な事態に陥ることを未然に防止すること,社会的信頼の維持と確保を行う必要がある.そして,本法人および学会員が行う学術活動に社会から疑念をもたれたり,信頼を損なうことのないよう,透明性,中立性の確保,説明責任を果たすための必要な措置をとり,安心して取り組める環境を整え,研究成果の普及や事業活動を推進するための指針を定める.

2.基本方針

  • (1) 本法人は,会員等が研究活動や事業等職務遂行にあたり,その責務が全うされていることを示し,本法人の社会的信頼の維持と確保を行う.
  • (2) 本法人は,利益相反を未然に防ぐこと,また利益相反が生じた場合に必要な措置を行う等,利益相反マネジメントを実施する.
  • (3) 本法人は利益相反マネジメントを所掌する委員会を倫理委員会と定め,会員等による研究成果の普及や事業活動が積極的に推進できるように環境を整備し,関連領域との連携を図る.

3.指針の対象者

  • (1) 本法人の会員
  • (2) 本法人の事業における学術集会会長,発表者,講演者
  • (3) 本法人の役員(理事・監事),委員会委員
  • (4) その他学会関連活動を担当する者

4.対象となる活動

 本法人が行うすべての事業活動に対して,本指針を適用する.

5.利益相反の定義

  • (1) 利益相反とは,企業への研究の関与や研究に関わる企業と研究者との間に経済的利益関係等が存在することにより,研究で必要とされる公正かつ適正な判断が損なわれると第三者から懸念されかねない状態である.
  • (2) 広義の利益相反:「狭義の利益相反」と「責務相反」の双方を含む.
  • (3) 狭義の利益相反:「個人としての利益相反」と「組織としての利益相反」を含む.
  • (4) 責務相反:兼業活動により複数の職務遂行責任が存在することにより,本務における判断が損なわれたり,本務を怠った状態になっている,又はそのような状態にあると第三者から懸念が表明されかねない事態をいう.

6.申告すべき事項

 利益相反を申告する対象者は,正確に利益相反の有無,状況を所定の書式で本学会理事会へ提出する.申告する内容,開示や公開の方法については,細則で定める.

7.回避すべき事項

 申告を行う者は,資金の提供者,企業の恣意的な意図に影響されることがあってはならない.影響を受けるような契約を締結してはならない.

8.申告の基準

  • (1) 研究を依頼する企業の株式の保有
  • (2) 研究成果から得られる製品,技術等の特許申請,特許使用料や特許権の獲得
  • (3) 研究を依頼する企業や営利を目的とする団体の役員,理事,顧問等
  • (4) 研究を依頼する企業や営利を目的とする団体からの講演料,原稿料等の報酬
  • (5) 研究資金や資材の提供等

9.実施方法

  • (1) 定期的な自己申告(理事,監事,事務職員)
  • (2) 事業活動毎の自己申告(学術集会,セミナー,研修会,論文投稿)
  • (3) 研究結果を発表する著者の自己申告(筆頭者,共著者)

10.指針違反への措置と対応

 本指針に違反した場合,倫理委員会及び理事会は内容を審議し,その程度に応じて改善の指示や措置を講じる.その方法については細則で定める.

 附則1 本指針は2021年6月12日より施行する.