日本看護技術学会

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【第13回学術集会】会長挨拶

日本看護技術学会第13回学術集会を終えて

「“癒しのケア”の成果と普及」

 

会長 西田 直子(京都府立医科大学)

 

 この度みなさまのご支援のもと、京都市において日本看護技術学会第13回学術集会を盛況のうちに開催できましたことを心から感謝申し上げます。

 

 平成26年11月22日(土)~23日(日)の2日間、京都テルサを会場に、963名のみなさまにご参集していただきました。今回は、キーセッション5題、シンポジウム、交流セッション14題、一般演題総数107題、卒業研究セッション12題からなる学術集会を開催することができました。

 

 今回の学術集会のメインテーマは「“癒しのケア”の成果と普及」でした。今日のストレスの多い社会の中で、病気により苦痛と不安を抱えた患者を癒すためにどのような看護技術が求められ、その技術のエビデンスを明らかし、ケアの効果についてご講演だけでなく実演もしていただき、看護職者も癒される会にしたいと考えていました。参加者のみなさの心も体も癒やされ、楽しくふれあう会になりましたことを大変うれしく思います。このような内容を今回の学術集会で取り上げることが、癒しのケアの普及につなげられていくのではないかと思います。

 

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 キーセッションⅠの「ヒーリングタッチの成果と普及」では、会長である西田直子(京都府立医科大学)が「癒し」のケアとヒーリングタッチというテーマで、癒しの定義、癒しのケアの中でのヒーリングタッチとの出会いについて話しました。次に橋本ルミ氏(ビ・ゲンキ・インターナショナル(NPO法人)代表 (CEO))は元氣セラピーとしてのヒーリングタッチの日本での現状と未来について話されました。「手と思いやりの心を使う」ことを基本とするヒーリングタッチが「手に目がある」と書く「看とる」看護の本質としっかりと繋がっていることを話されました。その後、柴田カトリーナ氏(ビ・ゲンキ・インターナショナル(NPO法人)エグゼクティブ・ディレクター)から、ヒーリングタッチがアメリカ国立衛生研究所のCAMの一つとして認定され、過去25年に飛躍的成長を遂げたエネルギー療法であり、その基礎理念は、ワトソン、ニューマン、ロジャーズ、そしてナイチンゲールなどの看護理論とも一致しているというご報告がありました。

 

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 キーセッションⅡの「アロマセラピーの成果と普及」では、山本加奈子氏(日本赤十字広島看護大学)から、アロマセラピーが看護におけるひとつの介入として有用であることを、震災地でのケアを通して話されました。次に若村智子氏(京都大学大学院医学研究科)からは、生体にアロマが与える影響について、実験をもちいた検証方法が紹介され、アロマセラピーの施行時刻やその環境を検証した結果を報告されました。さらに、今西二郎氏(明治国際医療大学附属統合医療センター)からは、看護領域でさらにアロマセラピーが普及して行くためには、看護者へのハンドマッサージの実施など、他職種を交えてアロマセラピーの理解を得る地道な活動が必要であろうという示唆をいただきました。

 

 キーセッションⅢの「リンパドレナージの成果と普及」では、木村恵美子氏(青森県立保健大学看護学科)から、癒しの技術としてのリンパドレナージ、教育の実践、研究などが紹介されました。基礎教育における選択科目「コンプリメンタリーセラピー」に2007年から看護技術としての「リンパドレナージ」を導入し、動機づけと基礎の大切さを示唆されました。次に奥津文子氏(関西看護医療大学看護学部)から、リンパ浮腫外来に来院すること自体負担が大きいため、携帯電話の活用は、定期的に問診・指導を行うことができ、タイムリーな指導は、リンパ浮腫の悪化防止に貢献できたことが発表されました。また、星野明子氏(京都府立医科大学医学部看護学科)から在宅でリンパ浮腫セルフケアの継続を必要とする人々を対象にグループ化を目指した支援活動を継続して活動しており、その評価を行った結果、患者ピアグループの育成とその支援が必要であることを発言されました。

 

 キーセッションⅣの「ヘッドトリートメントの成果と普及」では、上馬塲和夫氏(帝京平成大学東洋医学研究所)から、東洋医学的見地から頭頸部の中枢神経や五感機能についての説明がされ、マルマと呼ばれる心身に影響するポイントが多く、体内で最も優位な場所とされているため、頭皮部のケアにより全身の気血の流れを疎通させることができることが紹介されました。その結果、頭皮のケアは、全身の痛みを緩和できる可能性があることが述べられました。次に宮崎陽子氏(L.C.I.C.I. Japan)からは、海外と日本でどのようにヘッドマッサージが活用されているのかを具体的に紹介されるとともに、5分の「看護用のヘッドトリートメントプログラム」を解説を交えながら実際に紹介してくださいました。次に室田昌子氏(京都府立医科大学医学部看護学科)からは、ヘッドトリートメントを用いることにより、看護師は対象に安楽なケアを提供できることを報告されました。

 

 キーセッションⅤの「音楽療法の成果と普及」では、中村道三氏(国立病院機構 京都医療センター)から、多数の介護施設で認知症を対象に音楽を使った活動が行われ、音楽療法の有効性を示す報告が集まりつつあり,特に不安・不穏に対する効果は多くのエビデンスがあると報告がありました。次に飯塚三枝子氏(国立病院機構 京都医療センター)から、病院という施設が『治療をする病院』から、『患者と共に歩む病院』にという変革を求められている中、認知症患者に対しても、ご家族や施設との連携をとり、社会で尊厳のある生活を続けていくための医療とケアを病院が提供する必要があることを示唆されました。そして、四重奏による演奏と「花は咲く」「ふるさと」を合唱しました。富山県で活躍されているチンドンによる昔懐かしい曲の演奏と楽しい会話を聞き、楽しい時間になりました。

 

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 シンポジウムでは、「“癒しのケア”の成果と普及」をテーマに、橋本ルミ氏(ビ・ゲンキ・インターナショナル(NPO法人)代表 (CEO))からは、癒しのケアとして中心的な補完代替療法がアメリカではどのようにエビデンスが求められ、かつケアの普及が行われているアメリカの現状を報告され、補完代替療法の看護教育への活用について発言されました。次に小板橋喜久代氏(京都橘大学大学院)から、外来で行っているリラクセーションが癒しのケアの成果を上げている事例を紹介され、看護職者において互いにリラクゼーションに関する研究を行い、その成果を報告するグループを作り研究活動をしていることを報告されました。次に高島尚子氏 (日本看護協会医療政策部)からは、エビデンスがある癒しのケアが、患者に提供されることで、ひとつの成果として経済的な評価を持ち、診療報酬として評価されていくことが大切であることを発言されました。指定発言者の川島みどり先生から、看護として意味ある癒しケアが患者や住民に活用され、社会的意義が認められ、診療報酬が得られる看護技術として認められることを願いたいと意見がありました。

 

交流セッションでは14のテーマで開催され、好評のうちに終了しました。

1 「気持ちよさをもたらす看護ケア理論の開発に向けて」

2 「ポジショニングで食べる喜びを伝えるPOTT(ぽっと)プログラムの汎用化」

3 「移動動作ガイドラインの必要性と展開例」

4 「論文投稿のA to Z(その3)-研究成果を公表することの義務と意義-」

5 「オゾン水利用に関する普及戦略の検討~患者中心型デザインワークショップ手法を用いて~」

6 「口から食べることを支える摂食・嚥下ケアの基本-摂食・嚥下の5期モデルに応じたケア-」

7 「セルフケア・セルフケア能力を高める看護支援における技の検討-日頃の看護実践事例や視覚教材を通して-」

8 「副交感神経活動リザーブを高める看護技術の確立-有疾患患者における検討-」

9 「マッサージによるリスクを最小化する試み」

10 「ゴマ油による口腔ケアのエビデンスと臨床応用」

11 「便秘症状の緩和のための温罨法Q&A」

12 「痛みのケアの確立を目指して(その10)-疼痛ケア技術を社会と共同して開発する(2)-」

13 「看護教育と知的財産―教材開発を通して―」

14 「アイカメラが教えてくれること」

 

 卒業研究セッションでは12演題の示説による発表が行われました。なお、看護学生の参加は127名の参加がありました。

 

 参加されたみなさまには、観光客の多いシーズンでの京都での開催でさまざまな面でご不便をおかけしたことをお詫びいたします。しかし、美しい紅葉を楽しんでいただき、少しでもリフレッシュしてお帰りいただけたら幸いです。会員の皆様のご健勝と今後のご活躍をお祈り申し上げます。